Crumbl Cookiesの奇跡——TikTokが生んだ10億ドル企業
2017年、ユタ州の大学生2人が始めたCrumbl Cookies。創業から7年で年間売上1億ドル超、全米600店舗以上を展開する巨大チェーンに成長した。この急成長の最大の原動力は、TikTokだ。
Crumblの戦略は単純だが強力だ。毎週月曜日に新しいフレーバーを発表し、その週限定で販売する。この「週替わりメニュー」がTikTokユーザーの「今週のCrumbl」投稿を生み出す。毎週新しいコンテンツが自動的に生成される仕組みだ。
バイラルコンテンツの解剖学
TikTokでバイラルになる食品コンテンツには共通の要素がある。①視覚的インパクト(大きい・カラフル・予想外の形)、②ASMR要素(サクサク音・チーズの伸び)、③「やってみた」再現性、④希少性(限定・売り切れ必至)——これらが揃うとバイラルになりやすい。
Crumblのクッキーは直径15cm以上の巨大サイズで、ピンクの箱に入って提供される。「開封動画」「食べてみた動画」が自然に生まれる設計だ。ユーザーが自発的にコンテンツを作り、拡散してくれる「UGC(ユーザー生成コンテンツ)」戦略の教科書的な成功例だ。
イカゲームとダルゴナの世界的ブーム
2021年10月、Netflixドラマ「イカゲーム」の配信が始まると、劇中に登場する「ダルゴナ(달고나)」が世界的なブームになった。ダルゴナは砂糖と重曹を溶かして作る韓国の伝統的な飴菓子で、型抜きゲームに使われる。
イカゲーム配信後1週間で、TikTokの「#dalgona」タグ動画は1億回再生を突破。世界中の人々がダルゴナ作りに挑戦し、その動画を投稿した。韓国の菓子メーカーはダルゴナ関連商品の生産を急増させ、観光客向けのダルゴナ体験店が明洞(ソウルの繁華街)に急増した。
インフルエンサーマーケティングの費用対効果
従来のテレビCMと比較した場合、TikTokインフルエンサーマーケティングの費用対効果は圧倒的に高い。フォロワー10万人のフードインフルエンサーへの依頼費用は1投稿あたり5〜20万円程度だが、バイラルになれば数百万回の再生が得られる。
ただし、インフルエンサーマーケティングには「炎上リスク」もある。インフルエンサーの言動が問題になった場合、コラボしたブランドも巻き込まれる。2023年以降、多くのブランドがインフルエンサーの「価値観適合性」を重視するようになっている。