抹茶の世界征服
2010年代以降、抹茶(matcha)は日本を超えて世界的なフレーバーになった。スターバックスの抹茶ラテ、キットカット抹茶味、抹茶クッキー——これらが世界中で販売されている。
抹茶の世界的普及には、「健康」「日本文化への憧れ」「インスタ映え」という3つの要素が重なった。抹茶の鮮やかな緑色はSNS映えし、抗酸化物質(カテキン)を含む健康食品としての側面もある。また、日本文化への国際的な関心(アニメ・寿司・温泉)が抹茶への親しみを高めた。
タロ——ニューヨークを席巻した紫色の芋
タロ(里芋の一種)は東南アジア・台湾・ハワイで古くから食べられてきた食材だ。独特の紫色と甘い風味を持ち、2020年代にアメリカで爆発的なブームになった。
ニューヨークのアジア系パン屋「Bread Story」のタロクッキーは、SNSで話題になり毎日行列ができる人気商品になった。タロの紫色はSNS映えし、「見たことのない色」という視覚的インパクトがバイラルを促進した。
パンダン——東南アジアの「緑の香り」
パンダン(タコノキ科の植物)は東南アジアの料理・菓子に欠かせない香料だ。バニラに似た甘い香りと鮮やかな緑色が特徴で、「東南アジアのバニラ」とも呼ばれる。
シンガポール・マレーシア・インドネシアでは、パンダンを使ったクッキー・ケーキ・プリンが伝統的に作られてきた。近年、パンダンフレーバーがアメリカ・ヨーロッパの高級食品店に登場し、「次の抹茶」として注目されている。
アジアフードの世界化が示すもの
抹茶・タロ・パンダンの世界的普及は、食文化のパワーバランスの変化を示している。かつて「エキゾチック」として珍しがられたアジアの食材が、今や世界の主流市場で競争力を持つフレーバーになった。
この変化の背景には、アジア系移民の増加、SNSによる食文化の越境的拡散、そして「多様性」を価値とする現代の消費者意識がある。食文化の世界化は、単なる味の輸出ではなく、文化的影響力の拡大でもある。